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建設現場の安全書類・協力会社管理と現場進捗の見える化

建設現場では、協力会社の手配、入場者の資格確認、安全書類の回収、図面・仕様変更の共有、施工写真と是正、日報・出来高・工程など、管理すべき情報が次々に発生します。
その一方で、現場ごと・担当者ごとに運用が分かれやすく、「どこに何があるか」を探す時間が積み重なりがちです。
このページでは、元請・サブコンの現場管理で起きやすい情報の分散を、Webシステム上で整理していくための考え方と、画面構成イメージをご紹介します。
i-Construction 2.0で挙げられるデータ連携・遠隔確認・施工管理の効率化に関わるテーマ(BIM/CIM、遠隔臨場、3次元データ活用、検査のデジタル化 など)も、現場での使いどころが分かるように要点を押さえて触れます。

建設現場の安全書類・協力会社管理と現場進捗の見える化

こんな元請・サブコンの方に向いています

  • 安全書類や入場者の資格確認が、現場ごと・協力会社ごとに散らばり、最新状況が追いにくい。
  • 協力会社への指示・図面配布・変更連絡が、メール/LINE/紙で混在し、誰が何を見たか分からない。
  • 施工写真・是正指摘・検査結果が、フォルダ運用になっていて、履歴として残りにくい。
  • 現場日報・出来高・工程の情報がバラバラで、週次の進捗確認に時間がかかる。
  • 複数現場を抱えると、今どこが危ないか(安全・品質・工程・原価)が一覧できない。
  • BIM/CIMや3次元データ、遠隔臨場などの取り組みを、現場運用に落とし込みたいが入口が作れない。

このページで扱うシーン

ここで挙げるシーンは、下の「ダッシュボード(管理画面)構成イメージ集」のモック画面に対応しています。

現場で起きがちな運用上の課題

パターン1: 協力会社・現場・担当者ごとに書類管理が分裂

安全書類や資格証の提出状況が、現場単位のExcelやメールに散らばってしまい、 「最新はどれか」「誰が催促しているか」が分かりにくい状態です。
提出漏れが見つかるのが当日朝になり、入場調整や現場の段取りを崩しやすくなります。

パターン2: 施工写真・指摘・是正が“フォルダ運用”で、履歴として追えない

写真は撮っているのに、指摘の背景や是正のやり取りが別媒体(電話・LINE・口頭)になり、 「いつ、誰が、何を、どう直したか」が後から追いにくくなります。
検査・引き渡し前に慌てて探す、という形になりがちです。

パターン3: 図面・仕様変更の共有が、伝達の“証跡”として残らない

改訂図の配布や指示書の連絡を、メール添付や紙配布で行うと、 「誰が見たか」「旧版で施工していないか」の確認が難しくなります。
変更が多い現場ほど、ミスの芽が増えていきます。

パターン4: 複数現場の“危ない兆候”が、会議まで見えない

安全・品質・工程の問題は現場に兆候が出ますが、 情報が集まらないと、会議の場で初めて把握する形になりやすいです。
早めに気付ければ段取りで解決できたものが、手戻りや残業に繋がることがあります。

ダッシュボード(管理画面)構成イメージ集

シーン1

安全書類・入場者の資格状況を、現場別に一目で管理したい

協力会社の安全書類・作業員名簿・資格証・入場予定を、現場単位で見える化するイメージです。
「提出済み/未提出」「期限切れ」「差戻し」を色とステータスで揃えておくと、催促や当日トラブルを減らせます。

  • 協力会社一覧(現場別の参加状況、契約区分、担当者)
  • 入場者名簿(職種、所属、資格・教育の期限)
  • 安全書類の提出状況(KY、作業計画、体制表、保険、資格証など)
  • 差戻し理由と再提出の履歴

i-Construction 2.0の文脈で言うと、現場情報の「データ連携」を作る入口になります。
いきなり施工の自動化ではなく、まずは書類の状態を“機械が集計できる形”にするところから始められます。

画面イメージ:安全書類・入場者管理(現場別の提出状況ダッシュボード)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン2

施工写真と是正指摘を、やり取りごとに履歴化したい

施工写真を「フォルダ」ではなく「案件(指摘)」として管理し、是正→確認→クローズまでを一連の履歴にするイメージです。
写真・コメント・承認が同じ場所に残ることで、検査前の探し物が減ります。

  • 写真台帳(工区、工程、部位、撮影日、撮影者)
  • 指摘チケット(指摘内容、是正期限、担当会社、ステータス)
  • 是正後写真の再提出と、確認者の承認
  • 検査・立会い結果の記録(遠隔臨場のメモも含む)

遠隔臨場は「立会い」だけの話になりがちですが、 実務としては “写真+指摘+承認” の履歴が揃うほど効果が出ます。

画面イメージ:施工写真・是正指摘(チケット+写真台帳)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン3

現場日報・出来高・工程をまとめて、週次で進捗確認したい

現場日報を「作業実績の入力」と「週次の見える化」まで繋げるイメージです。
ここが揃うと、元請側の週次会議が“確認作業”ではなく“打ち手の会議”になりやすくなります。

  • 日報(天候、作業内容、投入人数、搬入、ヒヤリハット)
  • 出来高(工区別・工程別の実績、計画差分)
  • 工程の遅れ兆候(未完了タスク、制約事項、未解決の指摘)
  • サブコン側の報告を、現場別に取り込む入口

BIM/CIMや3次元データを使う場合も、 現場の実績データが同じ単位(工区・工程など)でそろうほど、連携の効果が出やすくなります。

画面イメージ:現場日報・出来高・工程(週次の進捗ボード)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン4

図面・仕様変更・指示書を、改訂単位で配布・既読管理したい

図面や仕様変更は「最新版がどれか」だけでなく、 「誰にいつ配布したか」「旧版で施工していないか」を追える形が重要です。
改訂番号・配布先・既読状況を揃えるだけでも、現場の確認コストが下がります。

  • 図面台帳(図番、改訂、発行日、関連工区、担当)
  • 変更指示(理由、影響範囲、関連写真・資料)
  • 配布先(協力会社・職長・現場代理人など)と既読・確認ステータス
  • 旧版リンクを自動的に“参照”扱いに落とす運用

i-Construction 2.0の「データ連携の自動化」を意識するなら、 図面・改訂の“データ項目”を揃えるところが土台になります。

画面イメージ:図面・仕様変更(改訂管理+配布・既読の履歴)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン5

資材搬入・車両予約・近隣対応を、現場の予定表で整理したい

搬入・クレーン・車両導線・時間帯が詰まる現場では、 予定が見えないこと自体がリスクになります。
「誰が・いつ・何を持ち込むか」を予定表で揃えるだけでも、現場の混乱が減ります。

  • 搬入予約(会社、車両、時間帯、資材、荷下ろし場所)
  • 注意事項(通行規制、近隣挨拶、騒音・粉塵の注意、立入制限)
  • 当日の変更連絡(遅延、代替車両、雨天対応)
  • 履歴(過去の搬入トラブル・クレーム対応メモ)

ここも「施工管理の効率化」の典型で、現場の段取りを“見える化”するだけで効きます。

画面イメージ:搬入・車両予約・近隣対応(現場予定表)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン6

複数現場の安全・品質・工程の状況を、統合ダッシュボードで把握したい

複数現場を持つと、会議用の資料作りが重くなりがちです。
現場別のKPI(未提出書類、期限超過の指摘、工程の遅れ、検査予定)を同じ軸で揃えると、 早い段階で“危ない現場”を特定できます。

  • 現場一覧カード(安全書類未提出、期限切れ資格、是正未完了)
  • 工程の遅れ兆候(重要工程の未着手、制約事項の滞留)
  • 今週の検査・立会い予定(遠隔臨場の対象も含む)
  • 会社別の対応状況(協力会社ごとの未対応チケット)

“集計できる形”のデータが揃うと、将来的に施工管理の自動化(自動集計・自動アラート)など、次の改善にもつなげやすくなります。

画面イメージ:複数現場の統合ダッシュボード(安全・品質・工程)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

Webシステムでどう楽にしていけるか

  1. 1. 安全書類・資格・入場者を「現場別の状態」として揃える

    書類そのものを電子化する以前に、「提出済み/未提出/差戻し/期限切れ」を同じルールで管理します。
    これだけで、現場の朝の混乱(入場調整・催促のやり直し)が減りやすくなります。

  2. 2. 施工写真・是正指摘を“チケット化”して、履歴を残す

    写真を“フォルダ”で集めるのではなく、指摘・是正・承認の単位で紐付けます。
    遠隔臨場のメモや検査の結果も、同じチケットに残しておくと、後工程で探す手間が減ります。

  3. 3. 図面・仕様変更は「改訂番号」と「配布・既読」をセットで管理

    図面台帳に、改訂・発行日・影響工区を持たせ、配布先と既読・確認状況を揃えます。
    BIM/CIMや3次元データを使う場合も、改訂の考え方が揃っているほど運用が安定します。

  4. 4. 日報・出来高・工程の記録単位を揃えて、週次の見える化に繋げる

    現場日報は現場の記録で終わらせず、「週次で見える形」に繋げます。
    工区・工程・協力会社といった軸で揃えると、会議資料の作成コストが下がり、判断が早くなります。

  5. 5. 複数現場は、まず“危ない兆候”だけを統合ダッシュボードに出す

    すべてを数値化しなくても、未提出・期限超過・未クローズ指摘・重要工程の遅れ兆候など、 先に手を打つべきサインを一覧できるだけで十分に効きます。
    将来的に、i-Construction 2.0の文脈で言う「施工管理の効率化・自動化」に繋げやすくなります。

小さく始めるならどこからか

建設の現場管理は範囲が広いので、最初から全部を作ろうとすると止まりやすくなります。
初期段階では、次の 2〜3 点に絞って始めるケースが多いです。

  • 安全書類・資格・入場者の「提出状況ダッシュボード」(現場別/会社別)
  • 施工写真+是正指摘の「チケット化」(まずは特定工区・特定工程だけ)
  • 図面・仕様変更の「改訂台帳+配布・既読」(改訂が多い現場ほど優先)

小さく始めても、現場の“探す時間”が減るほど、運用が回り始めます。
回り始めた段階で、日報・工程・複数現場の統合ダッシュボードなどに広げるのが現実的です。

ご相談いただくときのポイント

ご相談時には、次のような情報があると話を進めやすくなります。

  • 現場で使っている安全書類やチェックリスト(提出物一覧、資格一覧、入場手続きの流れ)。
  • 施工写真の運用(フォルダ構成、是正指摘の流れ、承認フロー、検査の記録方法)。
  • 図面・仕様変更の運用(改訂の頻度、配布方法、誰が確認するか、紙運用の範囲)。
  • 対象となる現場数、協力会社数、現場ごとの運用の違い(統一したい範囲)。
  • 既存ツールの状況(Excel、グループウェア、共有ストレージ、現場向けサービス等)。

現状の運用を前提にしながら、「どこをWebで支えると効きそうか」を一緒に整理するスタンスです。
建設業全体としての活用イメージは、 建設業向けWebシステム活用アイデア もご覧ください。

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