製造業 × 研究開発・技術部門向け

製造業R&D・技術部門の評価試験・試作依頼・技術相談のWeb一元管理

研究開発/技術開発の現場では、「評価試験」「試作依頼」「技術問い合わせ」「仕様変更の前提」といった情報が、メール・Excel・ファイルサーバ・チャットに散らばりやすい傾向があります。
その結果、「どれが最新か」「資料はどこか」「誰がいま見ているのか」を探す時間が増え、営業や顧客への回答スピードにも影響が出やすくなります。
このページでは、現場で起きがちな詰まりどころを整理しつつ、いまの運用を急に入れ替えず、まずは“入口と一覧”から整えていくためのWeb活用例をご紹介します。

製造業R&D・技術部門の評価試験・試作依頼・技術相談のWeb一元管理

こんな研究開発・技術部門の方に向いています

  • 顧客・営業からの技術相談や評価依頼がメール中心で、案件の把握だけで手が取られている。
  • 試験報告書や評価データの置き場が揃わず、探すたびに「誰に聞けばいいか」から始まってしまう。
  • 似た問い合わせが繰り返し来るのに、過去の判断や回答の要点が見つけにくく、毎回作り直している。
  • 営業が「いま技術検討がどこまで進んでいるか」を把握しづらく、顧客への回答が遅れやすい。
  • 仕様変更の前提・制約条件が、担当者のメールや個人メモに残っていて引き継ぎが難しい。
  • 海外拠点・外部パートナーとも共有したいが、権限を分けた“見せ方”が用意できていない。
  • 設備予約や作業依頼が口頭・紙・Excelで混在し、予定変更が入ると調整が増えてしまう。

このページで扱うシーン →ダッシュボードの画面イメージへ

現場で起きがちな運用上の課題

パターン1:評価試験の依頼と結果がメールの流れに埋もれていく

「この条件で評価してほしい」という依頼が届き、社内で回して試験を行い、結果をPDFで返す——という流れはよくあります。
ただ、依頼メール・添付・途中経過・最終報告が別々に残ると、後から「どの条件が正式だったか」「最新版はどれか」を追うだけで時間がかかります。
似た試験を再度実施してしまったり、営業からの確認でメールを掘り返す手間が増えやすいところが悩みどころです。

パターン2:仕様の前提条件が“人に聞く”前提になってしまう

顧客ごとに「この用途では温度範囲はここまで」「この工法は不可」など前提があっても、メール・口頭・個人メモに散ると判断が揃いません。
ドキュメントを作っていても、更新が追いつかず、結局「知っている人に聞く」が常態化することがあります。
仕様変更が入ったときほど、このズレが大きく出やすくなります。

パターン3:営業から見ると“いまの状況”が見えず、確認の往復が増える

R&D側は複数テーマが同時に動くため、口頭やメールだけだと「どの案件がどこまで進んでいるか」を一覧で捉えにくくなります。
営業は顧客へ説明する材料が足りず、確認の往復が増えたり、回答を慎重にしすぎてスピードが落ちることがあります。
“結論待ち”ではなく、“いま何を確認中か”だけでも共有できると、会話が噛み合いやすくなります。

パターン4:検討の背景が残らず、数年後に判断材料が足りない

報告書が残っていても、「なぜその条件にしたのか」「どこが評価の分岐点だったのか」が残っていないと、後になって意思決定の根拠が追えません。
人の入れ替わりがあるほど、この“追えなさ”が積み重なり、似たテーマで議論をやり直す回数が増えがちです。
数値データそのものより、「要点と前提」を薄くでも残す仕組みが効いてきます。

ダッシュボード(管理画面)構成イメージ集

シーン1

評価データ・試験結果を“後から探せる形”で蓄積したい

評価そのものは今まで通りExcelや専用ソフトで行いつつ、「探すための手がかり」だけを共通項目として登録しておくイメージです。
数値やグラフを全部Webへ移す必要はなく、「評価の存在」と「置き場所」が追えるだけでも効果があります。

  • 評価タイトル(例:新材料A/高温サイクル試験 第1回)
  • 対象製品・材料、評価目的(耐久性、比較評価など)
  • 評価条件の概要(温度、時間、回数など)
  • 結果の要点(OK/要検討/追加評価必要 など)
  • 元資料へのリンク(Excel・PDF・LIMS等)

「前にやったかどうか」「どの条件だったか」の確認が早くなると、同じ議論のやり直しが減りやすくなります。

画面イメージ:評価一覧(検索条件:対象製品/評価目的/期間)+ 各行から詳細ExcelやPDFへリンク

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン2

試作・評価依頼の優先度や進捗をチームで共有したい

試作・評価依頼の入口をフォームに揃え、最低限の項目だけを共通化して受け付けると、案件が一覧で見えるようになります。
依頼内容が揃うほど、着手前の確認往復も減らしやすくなります。

  • 依頼種別(試作/評価/追加検証/条件変更 など)
  • 依頼元(営業/マーケ/品質保証/顧客名 等)
  • 対象製品・材料、想定用途
  • 希望納期・優先度(高/中/低)
  • 担当者・ステータス(受付/評価中/完了/保留 など)

部門・担当者・優先度で絞り込めるようにしておくと、「いま何が詰まっているか」を会議の場でそのまま共有できます。

画面イメージ:試作・評価依頼の一覧(フィルタ:依頼元/ステータス/優先度)+ 詳細画面でやり取り履歴を記録

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン3

技術問い合わせの履歴を“ナレッジ”として残したい

顧客や社内からの技術問い合わせは、メール本文を丸ごと保存するより、
「分類」と「要点」だけを揃えて残すほうが、後から使いやすくなります。

  • 問い合わせ区分(仕様確認/代替品相談/不具合調査 など)
  • 対象製品・シリーズ、想定用途
  • 質問内容の要約(個人名・企業名は伏せる)
  • 回答の要約(採用条件・注意点・制約事項)
  • 関連資料へのリンク(評価結果・技術資料 等)

これだけでも、新任担当者が過去の判断にたどり着きやすくなり、同じ問い合わせの“ゼロから作り直し”が減ります。

画面イメージ:技術Q&A検索(キーワード検索+区分・製品・用途で絞り込み)+ 詳細で回答のポイントを確認

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン4

品質保証・規格認証チームと“同じ情報”を見ながら議論したい

R&D側の評価結果を、品質保証・規格認証チームと共有する場面では、
「どの規格に対して、どの条件で、結果はどうだったか」がすぐ分かる形があると話が進みやすくなります。

  • 対象製品に紐づく規格・認証(例:UL、CE、食品接触、医療向け等)
  • 各規格に対する試験条件・結果の要点(合否・マージン・注意点)
  • 最新の試験報告書・証明書へのリンク
  • 規格改定・条件変更時の検討メモ

「同じ画面を見て話せる」だけでも、前提のすり合わせが短くなり、顧客回答の速度が上がりやすくなります。

画面イメージ:製品別「規格・安全性」タブ(関連規格一覧+試験結果の概要+最新報告書へのリンク)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン5

大学・パートナー企業との共同研究の窓口を整理したい

共同研究が増えるほど、メール・共有フォルダ・打ち合わせメモが分かれてしまい、
「最新資料はどれか」「どこまで共有してよい情報か」を確認する手間が増えがちです。

ここでは、既存のファイル共有基盤(SharePoint/Teams/Box など)を活かしつつ、
テーマごとに“入口になる1枚の画面”を用意するイメージです。

  • 共同研究テーマの概要・目的・期間・相手先情報
  • マイルストーン・進捗メモ・次回アクション
  • 共有フォルダ・ノートへのリンク集
  • 問い合わせ窓口・連絡先(社内/外部)

まずは「見通しだけ整える」入口画面を作り、必要なところから段階的に整備していく進め方が現実的です。

画面イメージ:共同研究ごとのポータル(テーマ概要+進捗メモ+関連リンク集)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン6

仕様変更・技術判断の承認と履歴を残したい

仕様変更や例外判断は、関係者が多いほど「誰がOKを出したか」「どの前提で決めたか」が後から追いにくくなります。
そこで、変更の入口を揃え、承認の流れと“決めた理由”だけを残す、という考え方です。

  • 変更ID(採番)/対象製品・顧客・用途
  • 変更内容(どこを、どう変えるか)
  • 影響範囲(性能・安全・コスト・納期・認証など)
  • 検討メモ(判断の根拠、代替案、注意点)
  • 承認ステータス(起票→検討→承認→反映)と承認者

すべてを厳密に回すよりも、まずは「入口と履歴」を一本化するだけでも、引き継ぎと再説明が軽くなります。

画面イメージ:仕様変更・技術判断の管理ボード(影響区分/承認ステータスで絞り込み)

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン7

評価設備・試験室の予約と作業依頼をまとめたい

評価設備や試験室の運用が混在していると、予約の二重取りや、急な変更連絡で調整が増えやすくなります。
“設備の空き”と“作業の前提(条件・安全・校正)”が同じ画面で見えると、現場のやり取りが短くなります。

  • 設備・試験室(装置名、設置場所、管理者)
  • 予約枠(日時、利用者、案件ID、試験内容の概要)
  • 必要条件(治具、サンプル数、安全手順、立会い要否)
  • 校正期限・点検ステータス(要点のみ)
  • 変更履歴(変更者・理由)

予約はカレンダーで、案件は一覧で——のように“見せ方を分ける”だけでも運用が回しやすくなります。

画面イメージ:設備予約の一覧(期間/設備/ステータス)+ 予約詳細で作業前提とチェック項目

画面構成イメージはPCからご覧ください。

シーン8

顧客・営業へ返す技術回答をテンプレ化してブレを減らしたい

技術回答は、担当や時期で書きぶりが変わりやすく、後から見返したときに要点が掴みにくいことがあります。
“書き方を揃える”というより、「必ず入れる項目」をテンプレとして用意しておくと、判断の前提が残りやすくなります。

  • 質問の要点(用途・条件・前提)
  • 結論(可/不可/条件付き)
  • 条件・注意点(温度、寿命、取り付け条件、保証対象外など)
  • 根拠(評価結果・規格・過去案件への参照)
  • 社内承認(品質保証確認、上長確認など)と送信履歴

営業向けには“そのまま転記できる文章”を、技術側には“根拠にたどり着けるリンク”を、同じ画面に置く設計が相性が良いです。

画面イメージ:技術回答ドラフト一覧(承認ステータス)+ テンプレに沿った回答作成と承認フロー

画面構成イメージはPCからご覧ください。

Webシステムでどう楽にしていけるか

  1. 1. 技術相談/評価依頼の入口をフォームに揃える

    「どの製品について」「用途は何か」「条件は何か」「いつまでに必要か」など、最低限の項目だけを揃えた受付フォームを用意します。
    受付は採番(チケットID)し、メールは通知に留め、依頼内容・添付資料・追記はフォーム側に集めます。
    まずは“入口の統一”だけでも、探す手間が減りやすくなります。

  2. 2. 受け付けた内容を、そのまま案件一覧として見えるようにする

    依頼を「受付」「評価中」「追加情報待ち」「報告済み」などのシンプルな状態で管理し、担当者と予定回答日を紐付けます。
    営業は一覧を見るだけで状況を掴みやすくなり、顧客への説明も揃えやすくなります。

  3. 3. 評価結果・検討結果は“要点+根拠へのリンク”で残す

    詳細な報告書(PDF/PowerPoint)をすべてWebへ移す必要はありません。Web側には「結論」「条件」「注意点」といった要点を残し、元資料へのリンクを付けます。
    これだけでも、類似問い合わせのときに「前提と結論」をすぐ引けるようになります。

  4. 4. 仕様変更・例外判断は“承認と履歴”が追える形にする

    変更の入口を揃え、影響範囲と判断の根拠、承認者を最低限残せるようにします。
    まずは“どこで決まったか”が追えることを優先し、厳密なワークフローは後から整える進め方が現実的です。

  5. 5. ナレッジは「使われる形」から少しずつ育てる

    データが溜まってきたら、「技術領域」「用途」「製品系統」などで絞り込める画面を用意します。
    “検索して見つかる”状態ができると、過去の判断を前提に会話が進み、検討の立ち上がりが早くなります。

小さく始めるなら「受付フォーム」と「進捗一覧」から

研究開発・技術の業務は範囲が広いため、最初から全部を整理しようとすると止まりやすくなります。
まずは次の2点に絞って始めるのが進めやすいです。

  • 営業・顧客からの「評価試験・技術相談の受付フォーム」を用意し、必要項目を最低限に揃える。
  • 受付内容をそのまま「案件一覧」として見えるようにし、状態と担当者だけでも共通で管理する。

この2つだけでも、「誰から何を頼まれていて、いまどこまで進んでいるか」を部署横断で共有しやすくなります。
評価結果の要点登録やナレッジ画面、承認フローの整備は、運用が回り始めてから段階的に追加する形がおすすめです。

ご相談いただくときのポイント

ご相談時には、次のような情報があると話を進めやすくなります。

  • いま現場で使っているExcel・申請書・管理表のサンプル(項目名が分かる範囲で構いません)。
  • 「まず整えたい入口」(評価データ/試作依頼/技術Q&A/規格・安全性/共同研究/仕様変更/設備予約 など)の優先度。
  • 情報システム部門・品質保証部門・営業部門との関わり方(どこまで共通化したいか、権限分けの方針)。

既存の業務フローを大きく変える前提ではなく、「いまある運用を活かしつつ、どこをWebで支えると効果が出やすいか」を一緒に整理する形でお手伝いしています。
研究開発・技術部門にフォーカスした活用例ですが、製造業全体としての活用イメージは 製造業向けWebシステム活用アイデア で整理しています。

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