確認点1: 拠点別・担当別の記録を、全社でどのように確認するか
品質クレームを各拠点や担当者が個別に受け付けている会社では、台帳も複数に分かれている場合があります。個々の案件を管理できていても、全社の案件を並べて見るには別途集計が必要です。
Webシステムを検討する際は、現在の受付方法をすべて変更するのか、受付後の登録先だけを共通化するのかを確認します。後者であれば、メールや電話による受付を残したまま始めることもできます。
品質クレームや社内不具合の管理方法は、製品の特性、取引先への報告要件、拠点数、社内規程などによって異なります。受付から現品確認、原因調査、対策、顧客への回答までを、営業・製造・技術・品質保証など複数の部門で分担している会社もあります。
そのような業務について、メール、Excel、紙の報告書、共有フォルダにある記録を案件ごとにまとめて確認できるようにしたい、過去の類似案件や添付資料を探しやすくしたい、というご相談をいただくことがあります。
このページでは、不具合・クレームの受付内容、調査結果・原因・対策、顧客や営業への回答状況を一つの案件に関連付けて管理するWebシステムを、8つの画面イメージとともにご紹介します。日々の進捗確認から、品質会議、海外拠点との連絡、監査資料の作成までを想定した例です。
ここでご紹介する画面や項目は一例です。現在お使いのクレーム票や不具合報告書をもとに、なぜなぜ分析(5Why)、8Dレポート、CAPA(是正措置・予防措置)など、社内で採用している手順や顧客指定の報告様式に合わせて制作できます。
品質クレームを各拠点や担当者が個別に受け付けている会社では、台帳も複数に分かれている場合があります。個々の案件を管理できていても、全社の案件を並べて見るには別途集計が必要です。
Webシステムを検討する際は、現在の受付方法をすべて変更するのか、受付後の登録先だけを共通化するのかを確認します。後者であれば、メールや電話による受付を残したまま始めることもできます。
原因分析は不具合報告書、恒久対策は会議資料、承認記録はメールというように、工程ごとに保存先が異なる運用もあります。資料自体は保管されていても、一件の経過として読むには複数のファイルを開かなければなりません。
現在の帳票を画面項目として残すのか、帳票はそのまま添付し、要点と進捗だけをWebに登録するのかによって、必要な画面と入力作業は変わります。
品質保証部門が管理する原因の仮説や未承認の対策案を、そのまま顧客や営業へ公開できるとは限りません。一方で、現在のステータス、回答済みの内容、次回連絡予定などは、関係者が確認できたほうが連絡しやすくなります。
そのため、社内画面と公開用画面を分け、案件ごとに誰がどの項目まで閲覧できるかを決める必要があります。
月次・四半期の会議で、拠点別、製品別、顧客別、原因別などの集計を行う場合、元の台帳に必要な項目がなければ資料作成時に追加確認が発生します。
ダッシュボードを制作する前に、会議で継続して見る数値とその集計条件を確認し、日々の登録項目に反映しておくことが大切です。
現場写真、測定データ、検査成績書、顧客支給資料は、調査の途中で追加や差し替えが行われます。ファイル名だけでは参照すべき版を判断できない場合、顧客への説明や監査資料の作成前に内容の確認が必要です。
ファイルそのものをWebシステムに保存する方法のほか、既存の共有フォルダや文書管理サービスを使い、案件画面には参照先と版情報だけを登録する方法もあります。
自由記述だけで記録すると、同じ原因でも担当者によって名称が異なり、検索や集計では別の項目として扱われます。ただし、製品分野が異なる拠点に一律の分類を設けると、実務に合わない場合もあります。
全社共通にする項目と、製品群・拠点ごとに持たせる項目を分ければ、検索に必要な分類を保ちながら、各現場に合う入力欄も用意できます。
恒久対策の実施日と、その後の再発有無を確認できる日は同じとは限りません。教育記録や検証データの提出、一定期間の経過観察までを完了条件に含める場合は、それぞれに担当者と期限が必要です。
現在の社内規程に沿って、対策実施、承認、効果確認、案件クローズの順序と条件を画面に反映します。
メール、電話、営業からの連絡、海外代理店のポータルなど、受付方法をすべて一つに変更できない場合でも、受け付けた後の登録項目は共通化できます。
画面例では、受付経路の異なる案件をクレーム番号単位で登録し、同じ一覧に表示しています。
受付時にクレーム番号(チケットID)を自動採番し、影響度、ステータス、担当部門を登録します。期間、拠点、製品カテゴリなどで絞り込めるため、担当案件の確認にも、同一製品の検索にも利用できます。
一次受付の段階では必要な情報に限定し、原因調査や対策の項目は詳細画面で追加する構成にすれば、受付担当者に過度な入力を求めずに運用できます。
画面イメージ:クレーム一覧(期間/ステータス/影響度/拠点/製品カテゴリで検索)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
画面例では、一件のクレームについて、発生事象、原因分析、暫定対策、恒久対策、再発防止・横展開を5つの段階に分けて表示しています。
現在のステータスと次回報告予定日に加え、各段階の記録、時系列の進捗履歴、類似案件、関連資料まで同じ案件画面から確認できる構成です。
なぜなぜ分析や8Dレポートを使用している場合は、その項目を画面に反映できます。報告書のすべてを入力欄に置き換えるのではなく、検索や進捗確認に使う項目だけを登録し、詳細資料は添付する方法も選べます。
最終的な結論に加えて、どの仮説を検証し、どの対策を採用したのかを残せるため、類似案件を調べる際にも当時の経過をたどれます。
画面イメージ:クレーム詳細で「原因・対策・再発防止」をまとめて閲覧
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社内の調査画面とは別に、顧客や担当営業へ公開する項目だけで構成した画面例です。原因の仮説や社内コメントは表示せず、承認済みの要約、現在の状況、次回連絡予定日を掲載しています。
営業担当者は品質保証部門へ確認する前に公開済みの内容を参照でき、顧客へ案内した内容も案件ごとに確認できます。
ログインした顧客には自社案件だけを表示し、社内の営業担当者には担当顧客の案件を表示するなど、利用者の役割に応じて閲覧範囲を設定します。
顧客ポータルとして公開する場合は、表示項目だけでなく、公開前の承認手順、更新担当者、過去案件を掲載する期間もあらかじめ決めておく必要があります。
画面イメージ:顧客・営業向け状況ビュー(社内情報は一部マスキング)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
同じ登録データから、現在対応中の案件を確認する画面と、月次・年次の傾向を見る画面を作成した例です。
一つ目の画面では受付件数、調査中の件数、当月クローズ率と個別案件の履歴を表示し、二つ目では年間件数、重大案件の割合、再発率、暫定対策までの日数を集計しています。
集計値から該当する案件へ移動できるようにすると、件数の増減だけでなく、対象製品や原因、対応の経過まで確認できます。会議資料への出力が必要な場合は、表示中のグラフや一覧をPDF・CSVとして出力する機能も追加できます。
画面イメージ:クレーム統計ダッシュボード(推移・原因別・リードタイムなど)
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海外工場や製造委託先に、本社で登録した案件のうち、その拠点で調査や対策が必要なものだけを表示するポータル画面です。
画面例では、本社からの依頼内容と工場側の対応事項を同じ行に表示し、現地で入力する調査結果、対策、添付資料も案件に関連付けています。
顧客名や市場情報を非表示にする、拠点ごとに対象案件を限定する、本社の承認後に回答を確定する、といった権限設定も検討できます。写真や検査データはSharePoint / Teams / Boxなどに保存し、Web側では案件との関連付けと進捗だけを管理する構成にも対応できます。
画面イメージ:海外拠点・製造委託先向け不具合ポータル(自拠点関連のみ表示)
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現場写真、検査成績書、測定データ、顧客支給資料を案件に関連付け、参照すべき版と公開範囲を確認できる画面です。
画面例では、最新版・差し替え・旧版を区別し、登録日、版番号、差し替え理由、測定条件なども一覧に表示しています。
ファイルの保存先は、既存の共有フォルダや文書管理サービスでも構いません。Webシステムには参照先、版、差し替え理由、共有範囲を登録し、案件画面から該当ファイルを開けるようにします。現在の保存方法を変えずに、案件との関連だけを追加することも可能です。
画面イメージ:資料・添付の一覧(版管理/共有範囲/差し替え履歴)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
是正処置に含まれる恒久対策、他製品への展開、作業者教育、工程変更、効果確認を、個別のタスクとして管理する画面です。
画面例では、タスクごとに期限、担当、承認者、進行中・承認待ち・未着手・完了などの状況を表示しています。
手順書の改訂版、教育参加者一覧、検証データなどを完了の根拠として添付し、その後の再発件数や不良率を効果確認として記録できます。CAPAのクローズ条件は会社ごとに異なるため、現在の承認手順と確認期間に合わせて、ステータスや必須項目を設定します。
画面イメージ:CAPAタスクリスト(期限・担当・承認・効果確認)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
受付から調査、暫定対策、恒久対策、CAPA、効果確認までの記録を、監査用の資料として出力する画面です。
画面例では、出力する項目、顧客名などのマスキング、出力形式を選び、タイムライン、承認履歴、添付資料一覧を一つのPDFにまとめる流れを想定しています。
監査先や対象案件によって必要な範囲は変わるため、社内情報をすべて出力するのではなく、項目単位で選択できるようにします。日々登録した履歴から資料を作成することで、出力内容とシステム上の記録を対応させることができます。
画面イメージ:監査用エクスポート(タイムライン+承認履歴+添付一覧)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
メール、電話、紙で受け付けた内容を、クレーム番号単位でWebに登録します。受付方法をすべて変更しなくても、登録後の確認先を共通にできます。
一次受付では製品、発生日、事象、影響度などに項目を限定し、調査開始後に詳細を追加する構成も可能です。
受付、調査中、暫定対策、恒久対策、効果確認、クローズなど、現在の業務に合うステータスを設定します。
一覧には担当部門、期限、次回連絡予定日を表示し、営業からの確認と社内の進捗確認に同じ情報を使用できるようにします。
現在の不具合報告書や8Dレポートをもとに、原因区分、暫定対策、恒久対策、横展開などを入力項目にします。
詳細な報告書は添付のまま残し、製品やロット、原因、対策など、検索に使用する要点だけを画面へ登録する方法もあります。
社内画面には原因分析や未承認の対策案を残し、顧客・営業向け画面には承認済みの要約、対応状況、次回連絡予定を表示します。
顧客別、担当営業別、海外拠点別など、ログインする利用者に応じた閲覧範囲も設定できます。
件数推移、重大案件の割合、原因区分、再発率、暫定対策までの日数など、継続して確認する数値をダッシュボードに表示します。
集計条件を一定にするには、影響度、原因区分、完了日などを選択項目として登録できるようにしておく必要があります。
写真や検査データは案件に関連付け、最新版、旧版、差し替え理由、公開先を確認できるようにします。
保存先に既存の共有フォルダや文書管理サービスを使用する場合は、Web側に参照先と版情報を登録します。
恒久対策、他製品への展開、教育、工程変更などに、担当者、期限、承認者、完了条件を設定します。
対策後の再発有無や不良率を効果確認として登録し、社内規程で定めた条件を満たしてからクローズする流れも構築できます。
最初にどの機能を制作するかは、現在の台帳や優先したい業務によって異なります。
すでにクレーム票やExcel台帳があり、まず案件の所在と進捗を確認できるようにしたい場合は、次の範囲から始める方法があります。
顧客向け画面、統計ダッシュボード、添付資料の版管理、海外拠点ポータル、CAPA管理を、初期版にすべて含める必要はありません。
受付と詳細画面を実際の案件で使用した後、必要になった機能を追加する進め方にも対応しています。
次の内容が分かる範囲であれば、必要な画面や初期導入の範囲をご提案できます。
仕様が決まっていない段階でも、現在の帳票やExcelを拝見し、残したい運用とWebへ移したい作業を伺いながら画面構成をご提案します。ご相談時点で資料がすべてそろっている必要はありません。
製造業のほかの部門・業務での活用例は、
製造業向けWebシステム活用アイデア
にまとめていますので、あわせてご覧ください。
製造業の部門や用途ごとに、Webシステムの画面例と利用方法をご紹介しています。