パターン1: クレーム票・報告書が拠点ごと・担当ごとに分かれている
受付はできていても、台帳が拠点や担当単位で別々に存在し、全体の優先順位や傾向が見えにくい状態です。
「同じ製品で似た不具合が増えている」「特定顧客で再発している」といった兆しがつかみにくく、対策の打ち手が遅れがちになります。
品質保証・クレーム対応では、受付・調査・対策・顧客回答・再発防止までの情報が、メール/Excel/紙の報告書に分かれて残りやすい領域です。
その結果、「最新状況が追えない」「過去案件が検索できない」「会議資料が毎回つくり直し」になり、対応スピードと再発防止の両方に負荷がかかります。
このページでは、不具合・クレーム情報と原因・対策・再発防止、さらに顧客・営業への回答状況を、Webシステム上で“案件単位”に整理していく考え方と、画面構成イメージをご紹介します。
受付はできていても、台帳が拠点や担当単位で別々に存在し、全体の優先順位や傾向が見えにくい状態です。
「同じ製品で似た不具合が増えている」「特定顧客で再発している」といった兆しがつかみにくく、対策の打ち手が遅れがちになります。
暫定対策・恒久対策・再発防止の整理自体は行っていても、報告書や会議資料が別々に残ることで、後から経緯がたどりにくくなります。
「最終判断は何だったか」「どの時点で誰が承認したか」を確認するだけで時間が取られ、会議の本題が圧迫されやすくなります。
社内では調査が進んでいても、営業や顧客に伝わるのが遅れ、問い合わせのたびに確認が発生する状態です。
顧客側には「今どこまで進んでいるのか」が見えず、連絡頻度が増えたり、対応への不安につながってしまうことがあります。
月次・四半期の会議に向けて、拠点別・製品別・顧客別の件数や傾向を、担当者が都度集計している状態です。
集計に時間がかかるだけでなく、定義の違い(カウント条件や分類)が混ざり、数字合わせの手間が増えやすくなります。
重要な資料がメール添付や共有フォルダに点在し、「参照すべきファイル」を探す時間が増えやすい状態です。
版管理(差し替え履歴)が追えないと、顧客説明や監査対応で「この資料はいつのものか」を確認する作業が発生します。
同じ内容でも担当者によって表現や分類が違い、検索に漏れが出たり、会議でのグラフが実感とずれて見えることがあります。
“入力の揺れ”が増えるほど、蓄積が資産になりにくくなります。
暫定対策は早く進んでも、恒久対策・横展開・教育・効果確認が「いつまでに/誰が/何をもって完了か」曖昧になり、後から追跡が必要になる状態です。
結果として、再発してから「前回の残課題が終わっていなかった」と気づくリスクが残ります。
入口をWebフォームに揃え、まずは「案件として登録できる状態」にするイメージです。
項目は最初から増やしすぎず、現場が迷わない最低限から始めます。
受付時にクレーム番号(チケットID)を自動採番し、担当部門・次アクション・期限を持たせます。
一覧でステータス(受付/調査/暫定対策/恒久対策/クローズ)を見られるだけでも、問い合わせ対応の手戻りが減りやすくなります。
画面イメージ:一次受付フォーム+クレーム一覧(フィルタ:製品/顧客/ステータス)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
1件の案件に対して、原因整理から対策、再発防止、横展開までを「同じ画面で追える」状態にするイメージです。
会議資料を探し回るのではなく、案件画面を見れば経緯が分かる形を目指します。
「なぜなぜ分析」や「8Dレポート」の考え方を、フォームとして構造化しておくと、検索と集計が効きやすくなります。
後から見返したときに、結論だけでなく“判断の筋道”も追えるようになります。
画面イメージ:クレーム詳細で「原因・対策・再発防止」をまとめて閲覧
画面構成イメージはPCからご覧ください。
社内の詳細情報とは別に、「見せても問題ない情報だけ」を抽出したビューを用意するイメージです。
顧客・営業への説明が“案件ごとの最新状態”に揃い、メールの往復が減りやすくなります。
顧客ごとに閲覧範囲を絞り込めるようにしておくと、「自社の案件だけ」を迷わず確認できます。
将来的に顧客ポータルと組み合わせる場合も、この“公開範囲の切り分け”が土台になります。
画面イメージ:顧客・営業向け状況ビュー(社内情報は一部マスキング)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
登録データをもとに、会議で使う切り口を“最初から固定”して集計・表示するダッシュボードのイメージです。
まずは「見たい数字がすぐ出る」ことを優先し、複雑なBI導入は後段でも問題ありません。
「集計とグラフ作成」を毎回ゼロから行わず、画面で確認し、必要な範囲だけを会議資料に貼り付ける運用にすると、作業時間がまとまって減りやすくなります。
画面イメージ:クレーム統計ダッシュボード(推移・原因別・リードタイムなど)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
海外工場や委託先とも同じ案件を見ながら、必要な情報だけを安全に共有するためのポータル画面のイメージです。
まずは「その拠点が対応すべき案件だけ」を出し、入力欄も最小限に絞って運用に乗せます。
SharePoint / Teams / Box などの共有基盤を併用しつつ、案件の「進捗」「責任範囲」「次アクション」をWeb上に揃えると、タイムゾーンをまたぐやり取りでも確認が進めやすくなります。
画面イメージ:海外拠点・製造委託先向け不具合ポータル(自拠点関連のみ表示)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
案件に紐づく“証拠資料”を、案件画面から迷わず辿れるようにするイメージです。
ファイルの置き場は既存の共有基盤でも構いませんが、Web側で「関連付け」と「版」を揃えておくと、探す時間が減りやすくなります。
「最終版がどれか」を明確にし、案件の説明に必要な資料がすぐ揃う状態にしておくと、顧客回答や監査対応がスムーズになります。
画面イメージ:資料・添付の一覧(版管理/共有範囲/差し替え履歴)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
恒久対策・横展開・教育・工程変更など、“やること”が増えるほど、進捗が見えにくくなります。
ここでは、対策をタスクとして切り出し、期限と完了条件、承認、効果確認までをセットで追うイメージです。
クローズの基準を“人の記憶”に寄せず、画面で揃えておくと、再発防止が運用として定着しやすくなります。
画面イメージ:CAPAタスクリスト(期限・担当・承認・効果確認)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
監査で求められるのは「結論」だけではなく、「いつ/誰が/何を根拠に判断したか」という過程です。
日々の運用をそのまま証跡として出せる形にしておくと、監査前の資料づくりが軽くなります。
“監査が来てから組み直す”のではなく、普段の入力がそのまま説明に使える状態を作るのが狙いです。
画面イメージ:監査用エクスポート(タイムライン+承認履歴+添付一覧)
画面構成イメージはPCからご覧ください。
メールや紙の情報を“案件”に揃えるだけで、検索・集計・状況共有の土台ができます。
最初は項目を絞り、現場で入力が回る形を優先します。
調査中/暫定対策/恒久対策/クローズなどの状態を揃え、一覧で追える形にします。
問い合わせ対応の確認作業が減り、次アクションが明確になります。
報告書のフォーマットをそのまま画面に落とし込み、入力の揺れを減らします。
過去案件との比較がしやすくなり、横展開の速度も上げやすくなります。
社内の詳細は残しつつ、顧客向けには要約とステータスを表示するなど、情報の出し分けを設計します。
「どこまで開示して良いか」を整理しておくと、現場が迷いにくくなります。
後から集計しようとして“必要な項目が無い”状態を避けるため、会議で使う軸を先に決めます。
原因区分・影響度・暫定対策完了日など、集計の要になる項目はマスタとして揃えます。
置き場は共有フォルダでも構いませんが、案件画面から参照できるようにし、最終版が分かるようにします。
顧客説明や監査で、資料確認の手間が増えにくくなります。
対策の“やりっぱなし”を避けるため、完了条件と効果確認を画面上で揃えます。
期限超過や未完了が一覧で分かるだけでも、追跡が大きく楽になります。
品質保証の領域は関係者が多く、最初から全部を整えようとすると止まりやすくなります。
初期は、次の2点に絞って“回る形”を先に作るのがおすすめです。
ここまででも、案件の検索性と状況共有は大きく改善しやすくなります。
その後、顧客向けビュー、統計ダッシュボード、添付の版管理、海外拠点ポータル、CAPA管理などを、運用を見ながら段階的に足していく形が現実的です。
ご相談時には、次のような情報があると整理がスムーズです。
いまの運用をいきなり全面変更する前提ではなく、「現行の帳票やExcelを起点に、どこをWebで支えると効きそうか」を一緒に整理する進め方です。
製造業全体としての活用イメージは、
製造業向けWebシステム活用アイデア
にまとめていますので、あわせてご覧いただければと思います。